米連邦準備制度理事会など海外の主要中央銀行の利上げ競争を背景とした海外金利の先高観から、米ドルやオーストラリアドルなど外貨建ての金融商品の人気が高まっている。各行が魅力的な預金金利を提示するなど、顧客争奪戦は激化。外貨建て保険を活用した資産形成ニーズも高まっている。 新生銀行は、9月の外貨預金取扱高が前年同月比で約7・5倍に膨らんだと明らかにした。政府と日本銀行が円買いドル売りの為替介入を行った9月22日当日は通常の1カ月分の取引高があったという。 同行の担当者は「物価高から資産防衛意識が高まっている。外貨建て預金の取り扱いがこれまで見たことのない勢いで増えている」と語る。 世界で唯一、マイナス金利政策を続ける日本では、円建ての預金金利は0%に近い水準に沈んだままだ。一方、外貨建て預金の金利は上昇傾向が続く。 新生銀の1年物の米ドル建て定期預金の金利は年4・0%。円で預け入れて年8・0%の金利が適用される1カ月物の特別プランも好評だ。 外貨預金の人気ぶりは他行でも顕著だ。ソニー銀行は9月の外貨建て預金の取扱高が29日時点でFRBが利上げを始める前の2月から約5倍に拡大。新規口座開設も伸びている。 顧客獲得のための知恵も絞る。住信SBIネット銀行は12月30日まで、初めて外貨預金口座を開設するなどの条件を満たすと最大1千円をプレゼントするキャンペーンを展開中。大和ネクスト銀行は子供の自立支援などの社会貢献をする団体に寄付できる預金などが人気だ。