前日首位に立った金田久美子選手が苦しみながらも4バーディー、4ボギーの72とスコアを守り、通算9アンダーで逃げ切り優勝を飾った。ツアー通算2勝目。2011年4月フジサンケイクラシック以来、11年189日ぶりの勝利で、1988年のツアー制施行後ではツアー史上最長ブランクでの優勝となった。
泣いた。泣いた。また泣いた。キンクミこと金田が11年半ためこんできた涙は、そう簡単には乾かなかった。最終18番グリーンで泣き、アテストテントで泣き、表彰式で泣き、記者会見の席でも何度も泣いた。
2位に3打差をつけ単独首位で迎えた最終日。金田は「なんとなく今日イーブンパーで回れば勝てるんじゃないかと思っていた。終始落ち着いてプレーできたし、客観的に勝負を見られた。地に足がついてる…で言葉合ってますよね? そんな感じで。ここぞという場面でしっかり自分に集中できた」という。1番で3メートルを沈めバーディー発進も、続く2番ですぐにボギー。さらに5番でもボギーを献上したが、弱気の虫は現れなかった。
昨春にギックリ腰を発症、加えて夏場に足首を捻挫したことから習得したハーフスイングで、風にも負けない安定したショットを披露。7番では「スイング軌道を変えてここ3年、すごく苦手になって」猛練習してきたバンカーショットでピンチをしのぐパーセーブ。9番から15番までに2バーディー、2ボギーの出入りがあったが、2位・川崎と1打差で迎えた17番パー4、残り160ヤードを7番アイアンでピン手前1メートルに。このバーディーが実質的なウイニングショットとなった。これも今週初めの2日間、岐阜県のゴルフ場で必死に練習、克服してきたつま先上がりからの「完璧なショット」だった。
「もともと練習が嫌いで、そのイメージからか努力していてもSNSでたたかれたり…。くじけそうにもなったけど、私より私を信じてくれる人たちがいた。絶対に2勝目を挙げて、勝てることを証明したかった」
2017年以降はシード権獲得もままならない絶不調に陥り「ゴルフ場に来ると涙が出てくる。打球はチーピン(ダックフック)ばかり。50センチのパットも入らない。じんましんが出たり、吐いたり」。体がゴルフを受けつけないほどの苦しみも味わっていた。それでも「今は前よりゴルフが好きだとわかってきた。たまに楽しいです。25歳で辞めようと思ってたのに、今は納得いくまで、まだできると思えるうちは続けたい。この優勝でまた、できると思えたのでもう少し頑張りたいです」と言える金田になった。
うれし涙、つらい過去を思い出した涙、周囲への感謝の涙…。すべてがこれからの活力になる。
今年1番、胸が熱くなる女子ゴルフの大会だった。
最長ブランクから優勝した金田久美子選手の快進撃を再び期待したい!