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キンプリ脱退「海外進出避けられぬ時代に」 ジャニーさん旧知の識者

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背景に海外進出――。ジャニーズ事務所が4日深夜に発表した人気アイドルグループ「King&Prince(キング・アンド・プリンス=キンプリ)」のメンバー3人が脱退するとの一報。同社の副社長を務めていた滝沢秀明さん(40)の退任に続く事態に、ファンならずとも衝撃的なニュースだった。創業者のジャニー喜多川さん(故人)と親交があった江戸川大の西条昇教授(芸術学)にアイドルグループの海外展開と、脱退に至る背景を聞いた。

 

来年5月22日付で脱退するのは、リーダーの岸優太さん(27)、神宮寺勇太さん(25)、平野紫耀(しょう)さん(25)。永瀬廉さん(23)と高橋海人さん(23)はキンプリとして活動を継続する。

 

 4日深夜11時、ファンクラブサイトで突然に発表があった。発表前の午後9時、キンプリは「ミュージックステーション」(テレビ朝日)に生出演し、10時には、ドラマ「クロサギ」(TBS系)に平野さんが出演。その直後だ。ジャニーズ事務所は、こう弁明した。

 

 「5日の然(しか)るべき時間帯に皆様へのお知らせを予定しておりましたが、準備を進める中で憶測による情報が先行して流れる可能性がございましたので、急遽(きゅうきょ)、お知らせするタイミングを早めることといたしました」(原文)

 

 深夜発表に至った理由は明らかになったが、3人の脱退劇は、いくつかの事情がうかがえる。西条さんの見解は。

 

 ――発表内容にどのような印象を持ちましたか。

 

 ◆ファンサイトの動画コメントなど読むと、岸さんと平野さんから、海外で活躍できるグループになりたいという、ものすごく強い思いが伝わってきました。ジャニーさんも、そのような未来を語っていたのだろうと、平野さんのコメントからもうかがえます。海外進出というジャニーさんの夢を実現したかったのでしょう。

 

 日々の仕事に精を出しながら、同時に、ジャニーさんの思いを胸に、海外進出に向けて行動する難しさ、理想と現実のギャップに思い悩み、メンバー内で意見の相違が出てくるようになってしまったのではないでしょうか。その悩みが、相違が気がついたら大きなものになっていたのでしょう。

 

 ――海外進出は、ジャニーさんの大きな夢でもあったわけですよね。

 

 ◆ジャニーさんは、初代ジャニーズ(1962~67年)をアメリカに連れて行き、ゴールデンタイムのテレビ番組への出演を実現させようとしたり、レコーディングを行ったりしました。結局は、LPレコードがお蔵入りになり、代わりにその曲を歌ったアメリカの別グループでヒットしたという経緯もありました。これはA.B.C-Zのミュージカル「ジャニーズ伝説」でも出てきます。ジャニーさんにとってアメリカでの挑戦は悲願でもありました。

 

 当時はアイドル戦国時代、男性アイドルはジャニーズ1強ではなかったのですが、その後、ジャニーさんは日本国内でジャニーズの基盤をしっかりと確立させることに注力していきます。たのきんトリオ(1980~83年、田原俊彦さん、野村義男さん、近藤真彦さん)がドラマ「3年B組金八先生」(TBS)を足がかりに大ブレークしてからは、アイドルビジネスの中心に存在したテレビの力を活用することで次々にスターを育て、「ジャニーズ帝国」といわれるぐらい、男性アイドル=ジャニーズという時代を創り出しました。

 

 ――国内を中心に活動するジャニーズのタレントに対し、日本でも活躍する韓国の男性グループ「BTS」らの世界進出は、何か影響があったのでしょうか。

 

 ◆日本で、ジャニーズが男性アイドルの中心に居続ける一方で、BTSに代表される韓国の男性グループは韓国だけではなく、日本、その先にはアメリカと、グローバルに活動する戦略、徹底的なマーケティングを立案しています。

 

 ローカライズ戦略、日本で売れるためには、アメリカで売れるのはどうしたらいいのかに徹しました。そして、BTSは世界的な人気を博しています。日本のアイドルは彼らを間近で見ており、より大きな舞台にと、思うところはあったでしょう。脱退を決めた背景には、ジャニーさんの悲願、そしてBTS成功の現実、その二つがあるのではないでしょうか。

 

 ――滝沢さんがバックアップしたTravis Japanが全米デビューを果たしたばかりです。

 

 ◆TravisJapanのアメリカ進出は、かつての初代ジャニーズアメリカ進出をほうふつとさせました。キンプリもTravisJapanの活動に何か感じるところがあっても不思議ではありません。

 

 日本のアイドルも、海外進出は避けては通れないテーマになりました。今年8月、「クローズアップ現代」(NHK)で男性アイドル特集が放送されました。関ジャニ∞大倉忠義さんがプロデュースする「なにわ男子」や「AmBitious(アンビシャス)」が紹介された一方で、韓国側はBTSが所属する事務所「HYBE」を取り上げ、HYBEJAPANのハン・ヒョンロックCEOを取材していました。

 

 日本発の世界で活躍できるグループを目指し、韓国、台湾から1人ずつと、日本人で結成された「&TEAM(エンティーム)」です。メンバーが、ファンコミュニティープラットフォーム(オンライン上のファンとの交流)で投稿すると、同時に、多くの言語に翻訳、発信される。それがどこの国でよく読まれているかも集計、分析する。

 

 はからずも、日本国内で売れることや国民的アイドルを育てることを目指してきたジャニーズと、最初から徹底的にマーケティングをして世界を目指す韓国勢のアプローチが対象的にうかがえました。

 

 ――1日に滝沢さんの退所を発表したばかりです。ジャニーズ事務所でいま、何が起きているのでしょうか。

 

 ◆SMAP、嵐が軸足を置いていたテレビのパワーが、インターネットやスマホの普及で失われつつある今、キンプリは、ドームツアーを成功させるなどし、ファンにとって、脱退は「どうして」「今、なんで」と思うでしょう。嵐の活動休止も、芸能活動を休止したいという大野智さんの強い思いがきっかけでしたが、周りからすれば「なんで」でした。今回も、本人たちの悩みと、思いの強さを感じました。

 

 ジャニーズ事務所も(ジャニーさん、姉のメリー喜多川さんの死去で)世代交代をして新しい体制になったばかりですが、ジャニーさんの思いを継承し、実現していく、ということがジャニーズ事務所の基本にあるのだと思います。それぞれが思い描いているエンターテインメントをどう実現していくのかが本質で、大事にしていることは一緒でも、それぞれの「ジャニーさんイズム」の差が表れたのかもしれません。

そしてこれが時代の流れと変化であるのかもしれない。