ETC2022年問題について
高速道路を利用する際、ETCサービスを利用している人は多いでしょう。
利用率は9割近くとなっており、多くのクルマにはETC車載器が備わっています。そんなETC車載器は、機種によって今後使用不可になるケースがあるといいます。
一部では「ETC2022年問題」と言われていますが、具体的にどういった問題なのでしょうか。またコロナ禍で何か影響はあったのでしょうか。
ETCは車載器と料金所ゲートとの間で、無線通信という電波を使って通行料金の支払いに必要なデータをやりとりしています。
そんななか、電波法関連法令の改正によって、一部のETC車載器が使用できなくなることがアナウンスされています。
これは電波の利用環境などが影響しており、総務省によると不必要な電波(不要電波)をできる限り低減させることによって、電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るため、WRC(世界無線通信会議)において、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則(RR)の改正がおこなわれたといいます。
現在では、電波障害の原因となるスプリアス(不要電波)をできる限り低減するため、法令により発射強度の許容値が規定されています。
このため、改正された規定外の古い車載器(旧スプリアス規格機器)を搭載したままでは、電波法に違反する可能性があります。
従来では、国土交通省およびITSサービス高度化機構、高速道路会社6社が、2018年9月3日に「一部のETC車載器が、2022年12月1日以降使用できなくなる」と発表をおこない、2022年に利用できなくなることから、一部では「ETC2022年問題」と呼ばれていました。
しかし、昨今の新型コロナウイルス感染症などの影響から、無線設備の製造や移行作業に支障が生じていることが考慮され、新スプリアス規格への移行期間が「当分の間」と改められました。
では、旧スプリアス規格機器は、そのまま使用することはできるのでしょうか。これについて国土交通省のWebサイトでは以下のように回答しています。
「当分の間は、旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器は使用できます(一部抜粋)」
また、「移行期限後に対象の旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器で高速道路のETCレーンに進入した場合、ETCゲートは開かないのですか?」という質問については、以下のように回答しています。
「移行期限後に旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器で高速道路のETCレーンに進入した場合においても、急に料金が精算されなくなったり、ETCゲートが開かなくなるようなことはありません」
このように、従来は2022年12月以降使えなくなるとアナウンスされていたものの、昨今の社会情勢が落ち着く目処がつくまで新スプリアス規格への移行は延長されるようです。
一方で旧スプリアス規格機器について、「電波法に照らし適当ではない状態となる可能性」があるため、国土交通省やETC車載器の各メーカーでは、旧規格の機器の取り外しと新規格へ対応した機器への切り替えを呼びかけています。
当然ながら、移行期間のうちに対応機器へ切り替えを完了しておかなければ、その後は法令違反となってしまうため注意することが大切といえます。
そもそも古い車載器とは具体的にどういったものなのでしょうか。またどのように確認すると良いのでしょうか?
国土交通省によると、使えなくなるのは「2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証(旧スプリアス認証)を受け、製造されたETC車載器」としています。
例えばパナソニックでは、実験機として出荷された3機種が旧規格として対象となっていますが、それ以外の2001年以降に製造された機種は新スプリアス対応を実施済とのことで、型式ごとの対応状況一覧を公表しています。
また、デンソーでは2001年から2004年に製造された2機種が使用不可となると説明しており、それ以外の機種では引き続き使用可能です。
ほかにも、自動車メーカーの純正品を使っている場合は、自動車メーカーごとに確認することができ、トヨタやホンダ、スズキでは、メーカー純正品のETC車載器は、過去のものも含めて新規格に対応しており、2022年以降も問題なく使用できるということです。
車載器の型式は、車載器本体に貼ってあるラベルのほか、購入した時の箱や取扱説明書などにも記載されています。
多くの製造メーカーや自動車メーカーのWebサイトでは、旧規格のため使えなくなる機器の型式一覧や新規格対応機器の一覧が公表されていますので、自分の車載器の型式と照らし合わせて確認するといいでしょう。
ETCは車を利用さている方は必ず確認して下さい。
特に、ETC車載器10年以上使用は事故も起こしかねないので要注意です!