クレディスイス・グループの筆頭株主であるサウジ・ナショナル・バンク(SNB)は同行に追加投資をすることはないと、SNBのアンマル・フダリ会長が15日語った。SNBが取得したクレディ・スイス株の価値は3カ月で3分の1余り目減りした。
フダリ会長はクレディ・スイスへの追加出資について、「答えは絶対的なノーだ。規制と法律という単純な理由の他にも多数の理由がある」とブルームバーグテレビジョンのインタビューで述べた。追加的な流動性を求められたら、さらなる資金注入の用意はあるかとの問いに答えた。
クレディ・スイス株は同日のチューリヒ市場で一時30%安となり、過去最大の下落率を記録。上場来安値も更新した。
同行社債のデフォルト(債務不履行)に備える1年物の保証料は投資家の深刻な懸念を示唆する水準に近づいた。社債も値下がりし、ドル建て2026年償還債はディストレスト水準に落ち込んだ。
クレディS 社債保証コストが1000bp接近-政府支援議題でないと会長
クレディSのドル建て2026年償還債が急落、ディストレス水準に
同行は投資銀行部門をスピンアウトしウェルスマネジメントに集中する複雑な再編を実施中だが、複数の米地銀の破綻を受け金融機関への懸念が市場で高まる中で、再編実行の困難は増しそうだ。
ウルリッヒ・ケルナー最高経営責任者(CEO)は14日に、財務は健全だとして約150%の流動性カバレッジ比率に言及していた。市場が混乱した13日にも顧客資金が流入したとし、再編計画はスケジュールよりも進展しているとも述べた。
サウジアラビアの政府系ファンドが37%保有するSNBは、クレディ・スイスが昨年行った増資でアンカー投資家となり同行株約9.9%を取得した。
取得時の価格は14億スイス・フラン(約2000億円)だったが、数カ月の間に5億フラン以上が失われた。
フダリ会長は持ち分を10%超とすると、サウジアラビアやスイス、欧州の当局から新たな規制の対象になると説明。持ち分を増やさない理由は「ほかに5つか6つ挙げられるが、一つは規制による暗黙の上限」だと指摘、新たな規制の対象に入りたいとは思わないと語った。
追加支援の可能性を否定というのは異常事態なのでデフォルトしてもおかしくない状態になっていると感じる。